クライアント 【client】
クライアントとは、顧客、依頼人、得意先、施主などの意味を持つ英単語。
ITの分野では、他のコンピュータやソフトウェアから機能や情報の提供を受けるコンピュータやソフトウェアのことをクライアントという。提供する側のコンピュータやソフトウェアを「サーバ」(server)と呼び、サーバとクライアントで構成されるシステムを「クライアントサーバシステム」(CSS:Client Server System)という。
クライアントはサーバの機能や情報の提供を受け、自らは利用者への情報の提示や入力・操作の受け付けなどを担当することが多い。クライアントがサーバに処理要求(リクエスト)を送り、サーバがこれに応じて処理を行い、結果を返答(レスポンス)する、という形で一連の処理が進められる。
コンピュータ(ハードウェア)のことを明示的に指し示す場合は「クライアントコンピュータ」「クライアントマシン」「クライアント機」などと呼ばれ、ソフトウェアのことを指す場合は「クライアントソフト」「クライアントソフトウェア」「クライアントプログラム」などと呼ばれる。また、「メールクライアント」「DHCPクライアント」のように、システムや通信方式などの種類を冠して「○○クライアント」と称するのが一般的。
大型コンピュータなどの分野ではコンピュータ本体など集中的に処理を行う機械を「ホスト」、利用者が操作する端末装置を「ターミナル」と呼び、これらはサーバとクライアントの役割分担に似ているが、ターミナルにはコンピュータとしての機能が(ほとんど)なく表示や操作に単純な方式しか利用できない一方、クライアントは独立した一台のコンピュータであることが多く、サーバから受信したデータを用いて複雑な処理や表示、操作などを利用者に提供することができる。
なお、企業の情報システムなどのクライアントコンピュータのうち、パソコンなど単体でも利用される汎用の高機能・高性能のコンピュータを流用したものを「ファットクライアント」(fat client)と呼び、独立したコンピュータとしては機能せず、サーバへ接続して利用することに特化した特殊なクライアント専用機を「シンクライアント」(thin client)という。シンクライアントのうち、自らはデータの処理・保存などの能力をほとんどまったく持たず、通信・入出力機能のみの構成としたものは「ゼロクライアント」(zero client)と呼ばれることもある。